仕事で送迎のために借りたレンタカーをポールにちょっとぶつけた。自分の車なら無視する程度だが、お金も保険内だし他人の車だと思って連絡すると2万円とられるとのことで、落ち込む。2万円で買えたはずのもののことを色々と考えてしまう。仕事でもなんとも言えないミスとかミスじゃない怒られとかが発生し、うなだれながら職場を後にする。

ところがそこで面白いことがあった。十三の商店街に入ったところで、キーボーディストの鈴木潤さんがいた。私は鈴木さんの演奏がかなり好きでファンだ。何年もお目にかかってなかったのに、すぐに確信できる顔つき、ファッション、体の雰囲気だった。なんといってもボブマーリーのTシャツを着ていた(彼はレゲエルーツのミュージシャン)。とはいえお連れもいたし、私は何度かライブに行った程度であちらは覚えておられないだろうし、少し距離もあったのでお声かけせず、そのまま駅に向かおうとした。しかしここでピンときた。こんなところにわざわざ(?)いらっしゃるのはライブが近くであるからなのでは!?この後行きたい場所があったけど明日にずらせないこともないし、ライブあるなら見たいかも…。と思い、失礼ながら短距離後ろをついて歩くとやはり!ライブハウスに行き当たった。どんなライブなんかなーと看板をみていると、うしろか「レゲエのイベント!遊んでいかん?」と声をかけられた。うお!!  すごい陽気な方でどう?どう?楽しいよ?と言ってくれる。レゲエはあんまりたくさん聞かないけど、鈴木さんのこともきっかけに興味はずっとあって、あのズッチャっていうリズムをギターで弾けたら気持ちよさそうとも思ってなんちゃって練習をしたこともあって。こういうのが人生の新しい扉になったりするんかな、バンド漫画とかってこんなスタートだったりするよなーと妄想しかけたけど、中にいるレゲエラバーたちの明るい雰囲気に少し物おじしちゃったのと、もともとの予定にやはり行きたくてお断りしてしまった。もったいなかったかもなあと思うけど、声かけてくれたおっちゃんとは謎にインスタ交換してまたいこねって言ってくれたのでまた機会があると思いたい。

で、その予定というのは中津でやっている写真展”私たちが見たパレスチナ”に行くことだった。パレスチナ出身の方や、パレスチナに縁のある日本の人たちが、2000年ごろから現在にかけて撮った何気ない写真たちの展示だった。写真はぜひ見ていただきたいので(会期はもうすぐ終わるけど巡回予定ある模様)、詳細な描写はしないけど、空爆される前のガザシティの家族の遊園地での一枚、愛されているお菓子の写真、パレスチナの人たちが日々目にしているであろうオリーブ畑の写真などが印象に残った。感想ノートにはこんなことを書いた(感傷的な書き方で少しはずかしいけど)

オリーブの木がこんなに大きくなることを初めて知りました。甘いチーズのお菓子があることを知りました。テーマパークがあって不思議な犬?のキャラクターがいることを知りました。曲がってみたい路地もありました。カベの向こうの入植者たちにもふつうがあることを感じ、面喰らってしまいました。かべ(は物理的にはあったりなかったりするのかと思いますが)の両側に大切なふつうがあるのに片方は守られ、方方は簡単に奪われていることになんでという気もちが止みません。そこに居る人たちが何を食べ、どんな街を歩き、どんな表情で暮ろしているのか見ることができて、少しでもこの大きすぎる出来車を近く感じられました。考える入口にやっと立てたような気持ちです。

思えば、私もかつて2022年にロシアのウクライナ侵攻が始まった際には、侵略や戦争で失われたもの、失われるものを見て、留めて、あわよくば人に伝えたいと思い、当時ちょうどやっていたGoogleストリートビュースケッチで、Kyivの人々を描いた。その後、イスラエルによるパレスチナの虐殺が始まった時(ちょうど人たち展のころだった)、同じようにパレスチナ、ガザの人々の姿を見ることはできないかと思ったのだが、ガザにはストリートビューは一切入っておらず、ヨルダン川西地区では、どうやらイスラエル人入植地らしい土地だけストリートビューで見ることができた。Googleストリートビューが見れる地域は要するにアメリカ資本の強い地域ということだ。そのときは、ウクライナの時と同じように、失われてしまうもの、そこにあった当たり前のものを描きたかったし、侵略者の姿を描くのは癪だと思ってしまった。しかし、今回の写真がそうだったに、人々の当たり前の暮らしを見て起こる感情や考えはかんたんではない。侵略者のあたりまえの暮らしを描いたわたしや、見た人が、侵略者にも大事な生活があるのだから許してあげよう、というような単純な考えに行き着くことは、逆にまれだろう。だから、一体どんな気持ちになるのか、実験のような気持ちで書いてみるのもありかもしれないと思った。もっとも、ストリートビュースケッチ自体今お休みモードなのでいつになるかはわからない。

池田に帰ると伝統のがんがら火祭りがやっていたが、そこに夕立が降ってきた。雷も鳴りだし、雷の中外にいるのは怖すぎるので、祭りは諦めて、大人しく家に帰った。

コメントを残す