
久しぶりに風景画を描いた。
夜の風景画を描くのが好きだ。昼の太陽は物の固有の色を浮き立たせ、個を際立たせ、ひとりひとりで踊らせようとする。夜になると、生き物たちやや建物たちや山や道が、ひとつの青い闇の中に沈み、溶け合いだす。壁の内側と、外側の区別もゆるまっていく。でも完全に溶け合うわけではない。月やそれぞれの家から出る弱い光がお互いを照らしあって、フィルムに収めれば黒一色になってしまうほどの同質な闇の中に、小さな差異をつくりはじめる。夜の景色を描く時、わたしは限られた暗闇のトーンマップの中に、それぞれの存在の小さなうごめきを、小さな差異として画面に浮かび上がらせていく。絵を描く中で、そうした存在と共同性のあり方に少し触れられる気がする。
大きな光に照らされるのでも、自分が大きな光になるのでもなく、うちから出る小さな光で照らしあう。わたしのひとやものとの関わりもそのようでありたいと思う。
といいながら昼の景色を描くのも好きです。
コメントを残す